人生100年時代、ご自身の「健康寿命」について考えたことはありますか? 現在、日本人女性の平均寿命は87.74歳、健康寿命は74.79歳というデータがあります。(令和2年/2016年 厚生労働省統計)つまり、多くの女性が寿命を迎えるまでの約12年間は寝たきりや、病気を抱えて通院や介護が必要となって可能性が高いのです。このような健康とはいえない期間は男性よりも1.5倍も長いと言われ「女性は寝たきりになりながらも長生きする」その現実をどう受け止めますか?
ところでなぜ、女性の健康寿命は短いのか? これは、閉経という女性ホルモンの劇的な変化が関連していると言われています。
男性は老年期に向けて徐々に身体が緩やかに変化していくのに比べ、女性は閉経期の劇的な女性ホルモンの低下により急激な身体の変化が起こります。それだけでなく約40年間にわたる月経や、妊娠出産による生理的負荷は、生活習慣病に関連していることもわかってきています。女性が健康的に老年期を迎えるためには、それまでの思春期・性成熟期・更年期のライフステージにおいても健康であることが大切なのです。「well being」という言葉のように、本当の健康とは精神的にも身体的にも健全であることであり、充実感や楽しみを失わずに身体的な制約なく年齢を重ねて生きていくことは簡単なことではありません。「なぜ健診を受けるのか?」 病気の早期発見だけではなく、婦人科検診では今のライフステージをより元気に快適にするヒントを見つけたり、ご自身の次のステージを思い描く機会であると考えています。
当センターの健診では、病気の早期発見だけでなく、女性のライフステージごとにもつ身体の変化や悩み、不安に対し、ご自身の身体と上手に付き合うためのヒントや課題を見つける機会になることを意識しています。 いわゆる早期発見することが大切な疾患の検診に加えて、各ライフステージごとに多いお悩みに合ったオプションをご用意しています。また、検診を受ける際、結果を受け取った際に、ご自身の体のこと、検診の知識、チェックしたことを活かすヒントなど、健診の後に何か1つでも得られたと感じてもらうことを意識しています。
多くの方々がご利用される市町村の検診や組合や企業健診にアレンジしやすいオプション検査、婦人科検診の際の医師との問診、検診前後に送られる解説用紙など、当センターの工夫がお役に立てば幸いです。
学業 就職 結婚
女性として充実した人生のために
仕事 妊娠出産
思わぬことでそれらをあきらめないために
仕事 育児 介護
支える自分が健康でいるために
仕事 趣味
生きがいをいつまでも
続けられるために
自立した生活
寝たきりにならないために
このステージでは、女性としての健康への意識が将来の妊娠出産という選択につながるといっても過言ではありません。乳がんは確かに稀でも、子宮頸がんにつながる前がん病変が多く見つかるのはこの年代です。月経困難症状(月経痛、周期的な腹痛、過多月経)は不妊症につながる疾患の存在のサインでもあります。しかしながら健康不安の少ないこの年代は、健康診断を受ける機会や病院を受診する機会も少ないために、気づかないうちに治療や相談のタイミングを逃してしまいます。月経がつらいのは仕方ない、自分はがんにはならない、そんな考えが子宮頸がんや婦人科疾患を進行させ不妊症に結びついてしまうことを知ってください。この年代こそ重要な健康診断があります。日本では子宮頸がんワクチンの接種率、検診率の低さから、今後世界的にみても子宮頸がんが増えていく国とされています。次のライフステージでも女性としての人生を楽しく充実したものにするために、賢く健康診断を役立ててください。
貧血・各種がん・甲状腺疾患・月経不順・性感染症・不妊症・風疹抗体など
仕事で様々な経験を積む、パートナーと出会い新しいライフステージを迎える、妊娠出産のピークを迎える、健康不安は少なくても、人生において目まぐるしい変化が多い年代です。どのような人生の選択をしていても、女性の身体は妊娠出産に向けた活発な活動を行っています。それは女性ホルモンの働きとして現れ、仕事やキャリアに支障をきたすような月経困難症を引き起こす場合もあれば、その時期にしか妊娠出産を望めないという女性としての現実もあります。トラブルの多い月経は健康を害するだけでなく不妊症の原因となることもあります。また子宮頸がんの発症が高い年代でもあります。この時期特有の婦人科疾患で、この年代の人生の選択を狭めることや、社会や家庭での活動、役割に支障をきたさず、健康的で充実した毎日を過ごせることはとても大切です。
貧血・各種がん・性感染症・不妊症など
家庭でも社会でも重要な役割を担い、ご自身のことはなかなか気にかけていられない多忙な年代、女性の人生の中では身体的に大きな変化を迎えるライフステージです。このステージの前半はホルモンが活発なことで月経困難症状が加速的に悪化し、毎月の体調不良に悩む方もいます。一方、ステージの後半はホルモンの変動や低下による月経の変化が始まり、閉経を迎える前後5年間を周閉経期と言います。この時期は体力の低下や不調のような婦人科的トラブル(更年期症候群)がみられる方も多く、ご自身の健康に自信を失う方も少なくありません。この年代の女性が家庭や社会の一員として思うようなパフォーマンスが出せないと、周囲にとっても大きな痛手となります。更年期を上手に乗り越えることは、将来の健康寿命に関わるといっても過言ではありません。
高血圧・肥満・糖尿病・高脂血症・各種がん・骨量低下、骨粗鬆層・うつ、不眠症など
まだまだ働き盛りの方、退職や子育てを卒業し第2の人生を楽しむ時期、一人一人様々なライフプランを持つ年代です。その一方で、ご自身の体力低下を感じたり、家族の介護や問題を抱えるなど、人生の中で、身体的にも精神的にも決して前向きにばかりいられないことも多い年代です。女性は閉経を迎えるころから、体調の変化だけでなく少なからず生活習慣病の兆候が見られ始め、この年代ではそれらが疾患として発症してくる時期でもあります。また、ピークの年代を迎える「がん」。治癒できるがんの早期発見、寝たきりを引き起こす骨粗鬆症の早期発見は、次のステージがどのように迎えられるかの分岐点といっても過言ではありません。
高血圧・肥満・糖尿病・高脂血症・各種がん・骨粗鬆症・うつ、不眠症など
年齢を気にせず趣味をたしなむ、好きな時に好きな所へ自分の足で出かける、好きなものが美味しく食べられる、精神的にも安定して充実感をもった自立した生活。当たり前のことが続けられるためにはどうしたらよいのでしょうか?年を重ねるごとにちょっとしたことが大きな体力、気力低下につながることがあります。体の出しているサインに気づくことが大切です。
高血圧・貧血・低栄養・糖尿病・高脂血症・骨粗鬆症・各種がんなど